ニューズレター


2022.Jan vol.86

隣地に越境しているブロック塀


不動産業界:2022.Jan vol.86掲載

私は現在、所有地上にアパートを建設する予定で、既に建築会社とも契約を締結しており、今度、地鎮祭が執り行われる予定です。しかし、従前から所有地上に設置されているブロック塀が、隣地に越境していたことが今になって発覚しました。この件はまだ隣地所有者とは話していないのですが、今後どのような問題が想定されるでしょうか。また、対処方法としてどうすべきか、教えてください。


ブロック塀が隣地に越境している状況を放置し、アパートが建設された後に越境が隣地所有者に発覚した場合、ブロック塀の撤去や、越境部分の土地の買取を請求される可能性があります。

アパートが建設された後で、ブロック塀の撤去が事実上困難である場合や、買取請求の金額が高額な場合、境界線がどこにあるかの紛争に発展した場合には、交渉が難航し、訴訟を提起され、紛争が長期化する可能性もあるため、アパート建設前の今から早急に対応する必要があるでしょう。

具体的には、隣地所有者に一定の金銭を支払って隣地を買い取るか、使用許諾を得る等の合意書を締結するべきです。

さらに詳しく

1 隣地所有者からの法的請求について

ブロック塀が隣地に越境して設置されている場合、隣地を不法占有していることになります。不法占有状態を解消するために、隣地所有者からは、隣地の所有権に基づいて、「ブロック塀を撤去せよ」という請求をされる可能性があります。また、不法占有が民法上の不法行為にあたるものとして、損害賠償を請求される可能性もあります。ブロック塀の越境が事実である以上、隣地所有権の請求に一定程度応じざるを得ないことも予想されます。

しかし、アパート建設後に隣地所有者からブロック塀の撤去を請求されてしまうと、アパートの外壁や設備、隣地上の建物等から、ブロック塀までの距離が近接していることもあり得るので、ブロック塀撤去の工事を行えない可能性があります。

その場合、金銭的な解決を試みることになりますが、隣地所有者から想定以上に高額な金額が提示される可能性もあります。また、そもそも隣地との境界線が曖昧で、境界線の位置について更なる紛争に発展する可能性もあります。境界の確定は、実務上も紛争になりやすく、数多くの訴訟が提起されています。

訴訟まで境界紛争が発展すると、解決まで1年間では済まなくなり、2年以上かかることもありえます。紛争解決までの期間のみならず、費用としても、隣地所有者に支払う金額に加えて、訴訟対応の弁護士費用や、不動産鑑定を訴訟の中で行った場合には鑑定費用も、それぞれ数十万単位で掛かることが想定されます。このように、訴訟まで発展してしまうと、負担が各段に増大するため、次のとおり、早急に隣地所有者と合意書を締結する必要があるでしょう。

2 今後の対応について

以上のように、ブロック塀の越境状態を放置することは、紛争発生リスクが高いため、現時点で隣地所有者と合意書を締結することをお勧めします。

合意書の内容としては、①ブロック塀(の敷地部分)の処遇、②境界の確認、③対価として一定の金銭を支払うこと等を主に定めることになります。①については、越境部分の買取、使用許諾(もしくは賃貸借)、ブロック塀の撤去、移設等が考えられます。

合意の内容は、両者の納得のうえで自由に決めることができますが、法的な要素を多分に含むため、隣地所有者との交渉は弁護士等の専門家に依頼することをお勧めします。

なお、隣地所有者が気が付いていない以上、隣室入居者に何も伝えずに現状を維持することや、隣地所有者に理解があり、合意書等の締結も不要であるから今のままで良いと言われたとしても、合意書を締結しないことは避けるべきでしょう。土地は永続性があり、両者の子や孫の代まで相続し、相続後に両者の子や孫同士で紛争が発生する可能性があるからです。

弁護士等の専門家に依頼をすれば、早期に合意に至るケースもあるため、今の内に紛争の芽を摘んでおきましょう。

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