ニューズレター


2021.Apr vol.77

建設業法の遵守について


不動産業界:2021.Apr vol.77掲載

私は、都道府県知事の許可を受けて、建設業を営むことにしました。今後、注文者や下請業者と仕事を行っていくときに、建設業法上、気をつけておくべきことがあれば、教えて下さい。


注文者との関係で気をつけることとしましては、見積書の交付と請負契約の締結の2点が主に挙げられます。

見積書の交付についてですが、まず、建設業者が見積りを行うとき、工事の種別ごとの材料費、労務費その他の経費の内訳並びに工事工程ごとの作業及びその準備に要する日数を明らかにするよう努める必要があります(建設業法第20条第1項)。次に、注文者からの請求があったとき、建設業者は建設工事の見積書を交付しなければなりません(建設業法第20条第2項)。これらは、注文者が、建設工事の依頼に先立ち、いつどれ位の経済的負担を要することになるのかを理解した上で、請負契約に入ることを可能にするための規定です。

もう1つの請負契約の締結についてですが、建設工事の請負契約の当事者は、一定事項を記載した書面をもって、請負契約を結ばなければならず(建設業法第19条第1項)、請負契約の内容を変更するときは、その内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければなりません(建設業法第19条第2項)。

契約は原則として口頭の合意でも成立しますが、建設業者にとっても注文者にとっても負担の大きい義務を生じさせることが一般的ですので、法律関係を明確化し、紛争になることをできる限り回避させようとしたと考えられます。

下請業者との関係で気をつけることとしましては、主に下請代金の支払が挙げられます。

具体的には、元請負人は、注文者から請負代金の出来高部分に対する支払または工事完成後の支払を受けた場合、当該支払を受けた日から1か月以内に、下請業者に対して下請代金を支払わなければなりません(建設業法第24条の3第1項)。

また、元請負人は、下請業者に対して、労務費に相当する下請代金を現金で支払うとともに、注文者から前払金の支払を受けた場合には、下請業者に対して、資材の購入、労働者の募集その他建設工事の着手に必要な費用を前払金として支払うよう適切に配慮しなければなりません(建設業法第24条の3第2項、同第3項)。

下請業者が支出した費用をできる限り早期に回収できるよう配慮した規定であると考えられます。

さらに詳しく

建設業法は、令和元年6月5日に改正されました。その際、新設された規定には、注文者の義務を定め、請負人の利益を保護するものがいくつかあります。

たとえば、注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その建設工事を施工するのに通常必要な原価に満たない金額を請負代金とする請負契約を締結したり、その建設工事に使用する資材若しくは機械器具又はこれらの購入先を指定して請負人に購入させたり、その建設工事に通常必要な期間と比べて著しく短い期間を工期とする請負契約を締結したりしてはならないと規定されています(建設業法第19条の3、第19条の4、第19条の5)。

特に、著しく短い工期を禁止する規定は、短い工期と長時間労働の間には相関関係があることに基づき、建設業就業者の長時間労働を是正する趣旨で設けられました。

上記のとおり、建設工事請負契約では、注文者であれ、請負人であれ、気を付けるべきことが多くあります。

国土交通大臣又は都道府県知事による、発注者に対する勧告(建設業法第19条の6)並びに建設業者に対する指示(建設業法第28条の6第2号)及び許可取消(建設業法第29条第1項第8号)等を回避するためには、建設工事請負契約の内容や普段の業務の在り方が建設業法に適合しているかを、一度見直してみることが有用であると考えます。

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