ニューズレター


2012.Dec Vol.6

高年齢者雇用安定法の改正(平成25年4月1日施行)~継続雇用制度の対象者を労使協定で限定できる仕組みの廃止~


2012.12.vol.6掲載

Ⅰ.改正法の概要

現状、多くの企業では60歳以上の高年齢者の雇用対策として、労使協定に基づき継続雇用の基準を定めた上で、当該基準に該当する者に限り継続雇用を行うという取り扱いをしていると思います。

一方、今回の改正法では、このような継続雇用の対象者を労使協定で限定できる仕組みの廃止等を内容としているため、注意が必要です。すなわち、企業が継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象とするものにしなければならなくなります。

ただし、改正高年齢者雇用安定法が施行されるまで(平成25年3月31日)に労使協定によって継続雇用の対象者を限定する基準を定めていた企業については、経過措置として、年金支給開始年齢以上の者について継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めることが認められています。そのため、今後も一定期間、継続雇用制度の対象者を限定したい企業は、平成25年3月31日までに労使協定によって継続雇用の対象者を限定する基準を定めておくことが必要となるので注意が必要です。

なお、年金支給開始年齢は、具体的には以下のような内容となっているため、以下の各年度における年齢以上の者について継続雇用制度の対象者を限定する基準を設けることができます。

  • ・平成25年4月1日から平成28年3月31日まで61歳
  • ・平成28年4月1日から平成31年3月31日まで62歳
  • ・平成31年4月1日から平成34年3月31日まで63歳
  • ・平成34年4月1日から平成37年3月31日まで64歳

また、高年齢者雇用安定法は、事業主に高年齢者雇用確保措置を講じることを義務付けているため、当分の間、60歳以上の者が生じない企業であっても、65歳までの定年の引上げ、継続雇用制度の導入等の措置を講じていなければならないので、注意が必要となります。

Ⅱ.就業規則の変更

厚生労働省による高年齢者雇用安定法Q&Aによると、基準に該当する者を60歳の定年後に継続雇用する旨定めている企業であっても、経過措置により基準を利用する場合、継続雇用制度の対象年齢を明確にするため、就業規則の変更が必要とされています。その上で、経過措置を利用する場合の例として、以下のような内容が示されていますので、参考になります。

第○条 従業員の定年は満60歳とし、60歳に達した年度の末日をもって退職とする。ただし、本人が希望し、解雇事由又は退職事由に該当しない者であって、高年齢者雇用安定法一部改正法附則第3項に基づきなお効力を有することとされる改正前の高年齢者雇用安定法第9条第2項に基づく労使協定の定めるところにより、次の各号に掲げる基準(以下「基準」という。)のいずれにも該当する者については、65歳まで継続雇用し、基準のいずれかを満たさない者については、基準の適用年齢まで継続雇用する。

(1) 引き続き勤務することを希望している者  (2) 過去○年間の出勤率が○%以上の者  (3) 直近の健康診断の結果、業務遂行に問題がないこと  (4) ○○○○

2 前項の場合において、次の表の左欄に掲げる期間における当該基準の適用については、同表の左欄に掲げる区分に応じ、それぞれ右欄に掲げる年齢以上の者を対象に行うものとする。

平成25年4月1日から平成28年3月31日まで  61 歳
平成28年4月1日から平成31年3月31日まで  62 歳
平成31年4月1日から平成34年3月31日まで  63 歳
平成34年4月1日から平成37年3月31日まで  64 歳

Ⅲ.労働基準監督署への届出

常時10人以上の労働者を雇用する企業が、継続雇用制度の対象者を限定する基準を労使協定で定めた場合には、就業規則の「退職に関する事項」に該当することになります。そのため、労働基準法第89条に定めるところにより、労使協定により基準を策定した旨を就業規則に定め、就業規則の変更を管轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。

アーカイブ

ALG&Associates
Lawyers

弁護士法人ALGの所属弁護士紹介になります。

所属弁護士一覧